
旅人の天晴れ『おくりびとの撮影ロケ地』の話

▲山形県酒田市にある、
映画「おくりびと」の撮影ロケ地のNKエージェントの写真

おくりびとの撮影ロケ地でも巡ってみるか!
テレビや新聞で、10冠に輝いたやおくりびと
がオスカー受賞したなど、話題になっていたが
おくりびとの撮影ロケ地は山形の庄内地方で多く撮影されたため、ロケ地観光者が
大分増えたようだ。
して、DVDが発売したので山形の撮影ロケ
現場を眺めて来た也。
おくりびとのあらすじ -納棺師をテーマにした映画-
- おくりびとの主演・小林大悟が、妻の美香に黙って借金1800万をして楽器を購入し
オーケストラ奏者のチェロの演奏者として夢駆け出したばかりの頃から物語が始まる。
しかし演奏するホール内では客足が増えず、ある日突然楽団のオーナーが「解散・・・します」
の一言で夢破れ演奏者としてすべてが終わった。
他にチェロとしての職場も無く借金を抱えた状況なので、借金して購入したチェロを売り
妻と共に故郷の山形(庄内地方)へ戻り、大悟の母が亡くなる2年前に残してくれた
小さなスナックあったので、そこで妻と生活することになった。
妻と話をしている時に、新聞の広告欄に年齢は問わず、未経験でも可能で、労働時間が短い
尚且つ高給を保証してくれる、おいしい仕事の広告を見つけた。
広告内容では『旅のお手伝い』という内容で、旅行会社か何かだろうと想い込み面接へ行った。
面接に行くとNKエージェントの社長が遅れて入社して来て、大悟の顔をジーッと眺め
何を想ったのか履歴書を見ずに即採用した。大悟が「一体何の仕事内容なのか?」
と社長に訪ねると納棺(のうかん=NK)という、遺体を棺に納める仕事だった。
大悟は最初は嫌がっていたが納棺師を続けていく度に、生と死を学び立派な納棺師として
成長して行く、笑いと感動の人情映画です。
キャスト | 俳優名と主な人物内容 |
小林大悟 | 本木雅弘:父は家を出て行き母一人で育てられる家庭に生まれる。チェロで夢破れる。 |
小林美香 | 広末涼子:大悟の妻。ウェブデザイナーを仕事にしている。 |
佐々木生栄 | 山崎 努:NKエージェントの社長。いつも直感で物事を決める。 |
上村百合子 | 余 貴美子:NKエージェントの事務。出身の帯広市には一人息子を残している。 |
山下ツヤ子 | 吉行和子:山形で銭湯『鶴乃湯』を営んでいる。他界した夫が残した銭湯を継いでいる。 |
平田正吉 | 笹野高史:鶴の湯の50年にわたるほどの常連客。詰み将棋をしていた人。 |
山下 | 杉本哲太:小林大悟の同級生。山下ツヤ子の息子。 |
民家の客 | 山田辰夫:お前ら死んだ人間で食ってんだろ!と怒鳴る。干し柿を渡した人物。 |
大悟の父 | 峰岸 徹:愛人を作り家を出て行った小林大悟の父。無口で由利の漁業で働いていた。 |
その他 | 監督:滝田洋二郎、脚本:小山薫堂、音楽:久石譲 |
遊佐町のおくりびとロケ地


小林大悟が外でチェロを弾いたシーン
遊佐町の月光川河川公園では、大悟が鳥海山(ちょうかいざん)をバックに野原でチェロを弾く
シーンがあるが、あのイスがある所で撮影された。
酒田市からだと車で約30分ぐらいの所にあり
遊佐町の役場近くにある。
ずいぶん蚊の多い所で、撮影では周囲に
虫除けスプレー?をばら撒いて撮影してた。
大悟が美香に石文を渡すシーン
さらにイスが置いてある所から月光川の手前の岸あたりで、大悟が美香に白い石を渡すシーンも
ここで撮影されました。石を渡された美香を演じる広末涼子さんが「何これ?」と不思議がり
大悟が石文(いしぶみ)について河原で説明してたシーンです。
酒田市のおくりびとロケ地



NKエージェントと面接のシーン
右が面接に向かってくる時に、小林大悟が
坂を登ってくるときの風景です。
大悟の父が死んだと聞き、キレて美香の横を通り過ぎるシーンもこの坂で撮影された。
坂を登るとNKエージェントがあり、この建物は料理邸跡(旧割烹小幡、かっぽう)の外観を
利用したもので中の方はスタジオで撮影。
*2009年4月10日から中へ入場可能です。
▲看板も未だそのまま付いている
大悟が業務用のDVDを撮影しに訪れたシーン
小林大悟がNKエージェントに入社し、上村百合子が電話がかかてきたので取ると
港座に大悟を来るように伝えると、大悟が港座に向った時の場面のシーン。
左が下日枝神社の入口の鳥居で、港座では大悟が階段を登るときに乗り越えた鎖も繋がれてた。
内部も当時の日吉町旧港座のままで、ここで業務用DVD「納棺の手引き」を撮影した。
大悟が同級生に嫌味がられるシーン
大悟と同級生の山下とその家族らが、この中通り商店街で出くわすと
山下が「もっとマシな仕事さ付け!」と言われ、世間では噂になっていると忠告を受けたシーン。
当時の撮影で使用してた、防寒着と除雪機
撮影した時期は4~5月頃あたりで、雪は無かったので鳥海山から雪を運び人工的に
冬の景色を、この中通り商店街アーケードに造った。
ロケ地のショーケースの中には、背景で除雪機を使用し雪を除雪していたシーンが映っていたが
その当時の防寒着と除雪機が展示されてました。それと石文のまんじゅう?なども飾られていた。
車で現場に向かう時に映ってたシーン
大悟と社長が車の中で話しながら、仕事現場へ向かう時に窓に映っていた背景のシーン。
社長側から大悟を見た時に
山居倉庫が遠くに映ってました。距離を考えるとたぶん合成かも。
鶴岡市のおくりびとロケ地


大悟が子供の時から通ってた銭湯の鶴乃湯
鶴岡市では笹野高史さんが「日本一の風呂屋だの!」と話した、銭湯「鶴乃湯」があります。
現在も銭湯として営業しているようだ。映画では入口の屋根部分には鶴の彫り物のオブジェが
あったが、撮影セットで使われた道具は取り外したのかすでに無かった。
中もそのまま撮影で使用されており、まんま鶴乃湯と言った感じだ。
ロケ地巡り後は、ゆっくり銭湯に浸りたい所。映画効果により県外からのお客さんも増えたそうだ。
値段は映画の内容の通り大人300円。営業時間は15:00~21:00。定休日は日・水曜日とのこと。
*鶴乃湯は2009年8月末で廃業します。詳しくはコチラ⇒
鶴乃湯の廃業女子高生に臭いと言われたバスの中のシーン
初めて仕事現場に向かい、強烈な悪臭が漂う死体の始末を終え、帰宅のバスの中でバス窓に
映ってたシーンです。銀座通りと呼ばれる場所で、鶴乃湯から近い所にあります。
大悟の父が亡くなり、車で現場へ向かうシーン
大悟の父が愛人を作り家を出て行き、美香が家にいると郵便で大悟の父が亡くなったと知る。
その後、大悟と美香が由利(秋田県)の漁船域にある父の住居へ車で向かうシーンで
撮影された金沢陸橋です。日本海側にあり、湯野浜温泉の近くで風光明媚な場所だ。
上山市のおくりびとロケ地


大悟が山形に帰って来てからの住居
大悟の実家の母が残したスナック和が
山形県の上山市にあります。
2年前に死んだ母がたった一つだけ残してくれた財産。最初は父が喫茶店をやっていたが
父が愛人を作って家を出て行くと、母がささやかなスナックを営んだ場所という映画の内容。
大悟が仕事に向かう時も何度か映ってる。
当時の撮影セットとかそのまんま置いてあった
ここは元うどん屋だった建物をロケ地として選んだ。撮影として使用したのは外側の建物。
室内のシーンは東京の日活撮影所で撮影。上山市のこちらで撮影したのは4~5月頃で
雪が無かったので人工的に雪を造った。DVDのチャプターメニューでは、小林美香があの庭の
花畑にジョウロで水をかけていたが、そのジョウロも側に置いてありました。
*現在だと若干外装や内装が改装され、中に入ることが可能になりました。
その他の撮影ロケ地


まだある他の撮影ロケ地について
オススメの観光ロケ地巡りと言えば上記辺りですが、上で紹介したロケ地の他にもまだあります。
左の写真の三川町にある三川町文化交流館(通称:アトク先生の館)では、最初のオカマの家での
納棺の儀を行った時に使用された室内があります。三川町役場の50m側にあり
公民館風に勝手に入って良い建物のようだ。(9:00~17:00頃まで)
中には山崎 努さんのサインや、本木雅弘や監督?のサインと撮影した当時の写真が飾ってあった。
大悟が初仕事で向かった悪臭漂う民家や、白鳥が飛ぶシーンを撮影した出羽大橋近くの最上川。
室内での撮影だが希望ホールで、楽団によるオーケストラを演奏した場所。
庄内町の余目駅の4番ホームで、広末涼子さんが家出して実家へ戻る駅の風景なども撮影された。
鶴岡市の注連寺の付近では、吹雪の中で車は走るシーンや、一つが冒頭の民家と月山の風景
もう一つが山田辰夫が干し柿を渡した民家などもある。撮影された民家は個人宅。
他には鶴乃湯の山下ツヤ子が火葬された所もあるが、いずれも観光地としては疑問に感じるので
眺めてみたい方向けのロケ地スポットかと思います。
オススメと駐車場について
- おくりびとのロケ地を全部見て回ろうとすると、大体2、3日ぐらいかかるかもしれない。
オススメ処と言えば動画で紹介した辺りかと思います。
駐車場に関しては人気なロケ現場だと付近に用意されている。鶴岡市の鶴乃湯付近は無いので
鶴岡公園の駐車場を利用すると良いかも。あそこだけ道路状況が一方通行の道が多く
道が普通車1台分しか通れない道幅もあるので、車で近くを通るのはあんまりオススメしない。
上山市のスナック和の所の駐車場は、手前にある八幡神社の境内に駐車しても良いそうです。
満車の時は近くにある大きなデパート『カミン』の駐車場をご利用とのこと。
酒田市だと日和山公園の駐車場に止めて、酒田市内を徒歩で巡ると良いかも。
中通り商店街アーケードまでだと少し距離があるけど、それが嫌なら有料駐車場のご利用で。
それと鶴岡市羽黒町松ヶ岡の庄内映画村資料館では、おくりびとのパネル展示と映画で
使用した台本や絵コンテなども置いてありました。映画「蝉しぐれ」や「SUKIYAKI WESTERN
DJANGO」(スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ)の資料などもあり、興味のある方向けかな。
おくびとの内容と主な受賞歴
おくりびとの各チャプターシーン名 |
1.それでは ただ今より・・・ | 10.君の天職だ | 19.聖なる夜の為に・・・ |
2.絶たれた夢のあとで | 11.永遠の美 | 20.旅立ち十色 |
3.旅”立ち” | 12.大ちゃん 優しい子だからの | 21.おばちゃんの最期 |
4.隠仕事 -かくしごと- | 13.悲しき旋律 | 22.死は門 |
5.「納棺の手引き」 | 14.人の運命 | 23.石文 |
6.初仕事は突然に | 15.穢らわしい! | 24.オヤジの訃報 |
7.懐かしの再開 | 16.戸惑い | 25.三十年の長さ |
8.”生”の温もり | 17.生きるということ | 26.伝わる気持ち、繋がる生命 |
9.巻き戻された記憶 | 18.決心 | 27.納棺の儀 -エンドクレジット- |
国内受賞歴 | 国外受賞歴 | - 第51回 ブルーリボン賞
- 第63回 毎日映画コンクール 日本映画大賞
録音賞 - 第33回 報知映画賞 作品賞
- 第21回 日刊スポーツ映画大賞 監督賞・作品賞
- 第30回 ヨコハマ映画祭 作品賞・監督賞
助演女優賞・ベスト10第1位 - 第82回 キネマ旬報ベスト・テン 日本映画
ベストワン・主演男優賞・日本映画脚本賞 日本映画監督賞
| - 第32回 モントリオール世界映画祭 グランプリ
- 第17回 金鶏百花映画祭 国際映画部門 作品賞
監督賞・主演男優賞 - 第28回 ルイ・ビィトン・ハワイ国際映画祭 観客賞
- 第20回 パームスプリングス国際映画祭 観客賞
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オスカー受賞とその驚異的な効果について
テレビやニュースなどでは、第81回 米国
アカデミー賞 外国語映画賞、及び国内では
第32回 日本アカデミー賞 10冠を達成!!
となっているが、実際は小さい賞もカウント
すると60以上にもなるのだそうだ。
まさにぶっちぎりの受賞歴だが
現在でもさらに小さな賞を貰ってそうですね!
おくりびとは2008年11月頃までは、観客動員数が215万人とロングランを記録したが
さらにオスカー受賞効果により、2009年3月15日の時点で観客動員数は456万人突破し
興行収入52億円にもなっている。DVDやレンタルも開始されたので、さらに記録を塗り替えるだろう。
撮影内容や記者会見
山崎 努さんは途中ズルをしたが、本木雅弘さんの納棺の儀は、納棺師としても十分通じるほどの
腕前なのだそうだ。「俳優で失敗したら納棺師でやって行けるから来い」と言われたとか。
おくりびとで話す方言は、山形の庄内弁です。庄内地方の方は確かにあんな感じで話します。
山形の内陸の人との方言とは、ちょっとニュアンスと語尾の言い方が違う。
役者の方々は、言葉の喋り方も習い撮影したそうです。聴いてても違和感の無い発音だった。
2008年6月11日に開かれた完成披露記者会見での滝田監督は
「この映画は死をテーマにしていますけれども、生きるための映画だと思っています。」
と発言していた。
死をテーマにして作品を作ったが、それが逆に生きるための作品になるとは因果なものだ。
まだ名が知れていないの頃、酒田市での花火祭りでおくりびとの曲を聞きながら
打上げ花火を見ていた頃が懐かしいものだ。次回作の映画「釣りキチ三平」が楽しみですね^^
おくりびと関連サイト
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おくりびと 山形風景写真